……っていう、夢を見た。
前から、たまに見てた。
朝、凡ゆる非日常が、日常に戻る感覚。
バンドで、すごい数のお客さんの前で演る。
野外フェス。
大雨の中で、マイク通さず叫んで。
オーディエンスが揺れて。
体力尽きそうな眩暈が快楽になる頃。
アンコールは、鳴り止まない。
耳をつんざく、悲鳴のような歓声。
そんな夢を見る。
バンドやりたいわけじゃないと思う。
そうじゃないと、思う。
芯のあるディストーション、俺のギター。
”ザ・歪み”、もう一人のギター。
隙間に挟まる心地よいスラップ、ベース。
機械では再現できないだろう、生きたドラム。
そして……。
会場に響き渡る俺の歌声。
全部、本当にどうでもよくなる。
そんな心地よいロックサウンド。
曲名は……。
”Dead or rocK”だった。
そんな、たいしたタイトルじゃないけど。
ずっと前から作りたくて。
でも。
言い訳して、作ることから逃げていた曲。
そのステージでは、誰もが知っていて。
オーディエンスが一緒に歌ってくれた曲。
でも。
メンバーは、SUR[REAL]じゃなかった。
当然か。
……。
もうSUR[REAL]は”死んだ”のだから。
あの日は戻らない。
だから”創る”と決めたのだ。
ただ一人だけでも、ここに残ると。
今の僕は、なんだ。
ありと凡ゆる全てに言い訳してないか。
戒めるなら、今かもしれない。
動き出すなら。
手遅れとなる、その前に。
見ている人は。
これが「決意」か「悲鳴」か。
また「感嘆」か、それとも「悲愴」か。
構って欲しいだけか。
どう、映る?
これまでと明らかに違うのは。
これが病みではないことだろう。
明確なビジョン。
僕は吟遊詩人。
バンドマンじゃ、ない。
アリスはもう、脚光をあびることもない。
ステージはアリスを望まない。
違うかな。
僕がアリスを望まないのか。
それとも、その嬌声に魅せられるのが怖いか。
艶やかに、妖しげに、誘うように。
彼女は美しい。
……。
僕は3つの柱を持つ。
「音楽」「仕事」「家庭」だ。
弱い僕は。
仕事と音楽が、ある時、砕けてしまった。
明確にその日がわかる。
今日の昼、そのことを打ち明けた。
LINEで、だけど。
そして再認識した。
「仕事」は、あの時、明確に心折れたのだ。
では「音楽」は?
そのあと、食事をしながらぼんやり考えた。
心折れた”事にした方が楽”では、ある。
だが、まだ戦える。
何も始まってない僕の音楽は。
泣きながらでも進めるんだろうって。
本気になるべき時は過ぎ去ったと。
でもそれは言い訳だと。
本気になる時なんて存在しない。
常に真剣だった。
胸を張れ、僕。
そう思うと、今日がとても晴れ渡った。
大きなステージでライブする夢を見ても。
怖くない。
いや、むしろ心躍る。
「楽しい夢を見た」と、今なら笑える。
進める。
いや、進もう。
年が明けたら……。
大阪で、ライブしよう。
路上とか、ライブハウスとか。
そして、自分を変えないと。
腐ってしまう。
その前に。
舞台と役者は揃った。
僕は吟遊詩人。
創造と伝承を、唄と音で伝える者。
そうなるなら。
……。
うん。
今しかない。
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